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3年連続|日比谷高校で「探究」の価値について話してきました。

川崎学舎の門野坂です。


3/24(月)に都立日比谷高等学校で「探究学習の価値」について登壇させていただきました。今回は、日比谷生に話してみて感じたことを書いていきたいと思います。

写真は去年、日比谷高校で撮って貰ったものです
写真は去年、日比谷高校で撮って貰ったものです

日比谷高校について


一応、概要を書くのですが、東京都立日比谷高等学校は東京都で1番偏差値が高い公立高校で、今年は東大への進学率の高さが話題となっている名門進学校です。


なんで、僕がそんなレベルの高校で話す機会があるかと言えば、完全にコネですね(笑)


東京学芸大学という教育系の大学に通っていたので、そのご縁で呼んでいただいているという感じです。


大学院時代は、早稲田実業高等学校や小金井北高等学校でも「学びの意味」や「キャリア」について話させていただきました。

 

理数探究基礎が広まらない現状


日比谷高校の学生は、受験勉強が非常に得意で、どの科目もオールマイティーにこなすことができるエリートたちです。


僕が日比谷高校に召喚される理由はただ1つで、「探究学習」の楽しさを伝えてほしいからです。


日比谷高校の1年生は「理数探究基礎」という科目が必修授業です。

この授業は、他の授業とは異なり「正解はなく、深く論考すること」が求められます。


ところが、日本の受験勉強では「正解があり、再現性のあることを覚えること」が求められます。

 

僕が伝えたこと


僕は、彼らに


  • 受験勉強とは、論理性の高い他者の言葉の暗記。

  • 探究学習とは、論理性の高い自己の言葉の追究。


と話させていただきました。


3年間も連続して話させていただくと、日比谷生にはむしろ難しい言葉で語った方が良いことが分かってきました。


英単語・英文法・数学の公式・古典文法などは、既にお偉いさんが法則化しており、説明として成り立つと認められているので、受験生はそれを「覚える」という方法を採ります。


一方、探究学習は、まだ明らかになっていない事実に対して、他の人が納得するような法則を自分で説明しなくてはなりません。最終的に覚えるという手法は採れず、追究するしかありません。

 

ネガティブ・ケイパビリティ


他の人よりも法則性のある正解を用意に出すことが出来て、しかもその能力ゆえに承認される機会が多かったであろう日比谷生、ひいてはエリートの方々は、答えが出ないことに対してストレスを抱いてしまうのではないかと、僕は予想しています。

ネガティブ・ケイパビリティという「不確実な疑問や、答えのない状況を許容し、それをじっと受け入れる能力」を示す言葉がありますが、そういった態度とは別様の感覚が醸成されているのではないかと思うのです。


僕なんか、勉強もできない・サッカーもできない・お笑いもスベりまくり・ビジネスセンスにも欠けるというなんにも出来ないという自己認識で生きていますから、ネガティブ・ケイパビリティを鍛えないとやっていけない不器用人間なんですよ……。


川崎学舎でも勉強できる子たちを見ていて、なんでもスパっと覚えられたり、理解できたり出来ていいなあと思いますね。

 

『人生の経営戦略』|これからの社会


最近読んだ本で影響を受けたものは、山口周さんの『人生の経営戦略』です。

本書では、お金だけに振っても、精神的な充実だけに振っても、最終的には幸せにならないかもしれないと指摘されています。


少し鋭めな見解ですが、僕は、日本の受験的な瞬時に正しい答えを導ける能力だけでは心配な社会が到来すると予想しています。


経済的に不安定な社会だからです。


何をすれば確実にお金になると分かっていて、その業界でのビジネスモデルが確立していて、やることが明確になっている企業の社員が目標ならば良いのかもしれません。あるいは、安定している国の公務員として働くとかもあり得そうですね。


実際、上記の山口さんの本の中でも「考えなくても良い時代ではなくなった」と指摘されていますし、僕の大好きな教育書でも類似した指摘は多々見られます。

 

川崎学舎の子どもたちに求めること


川崎学舎の子どもたちには「基礎的な学力」と、学びを身近な事象に落とし込めるという意味で「探究的な学び」のバランスが良い生徒になってほしいと思っています。


自分ごとに落とし込んだ方が学びは楽しくなるというポジティブな面もありますし、どんな社会になって自分の力で切り拓いていくことが出来る人になってほしいという力強いメッセージもありますし、何よりもこの日本という国を支えていってほしいという願いがあるからです。


ただ文章に書いてあることを理解すれば良いというタイプの学校の問題でも、少しは「身近な具体例に落とし込んでみて」と投げかけます。


受験的に言えば、そうやって語りを促した方が理解力が高まるし、将来的に言えば、データと情動のバランスが良い人の方が説得力が生まれるからです。


市立川崎を狙うなら基礎学力2:探究力8

慶應女子を狙うなら基礎学力7:探究力3

早大学院を狙うなら基礎学力8:探究力2

明大明治を狙うなら基礎学力9:探究力1


など学校の性質によって、求められる力はバラバラだけれども、少なくともどちらだけに偏るような指導を早期からはしたくない。


この世の中を生き切る強かさと、心優しい社会のリーダー。

どちらも担うような人材を育てていきたいと願っているからです。


川崎学舎での教育が、学歴を超えた生き様を支える教育であるように、常に意識しながら指導してきたいものです。


門野坂翔太


 
 
 

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